これほど桜の花を待ちこがれた年はありませんでした。
これほどソメイヨシノに興味をもったことはありませんでした。
2月22日 立石さくら通り |
気持ちが沈んでいる時は、歩いていても下を向いています。
前をみて、上をみて、目にしたのは立石さくら通りのソメイヨシノでした。
圧倒的な存在感でした。
100本を超えるソメイヨシノの樹が、どれとして同じものはありません。
一つひとつが個性をもって、自己主張をしています。
花も葉もない枝だけの桜の樹にも、その時が来れば必ず満開の花が咲くんだと、
教えてくれました。
3月24日 東京武道館 |
3月11日の大震災・大津波、そして福島原発事故。
福島からの避難された方々を受けいれた東京武道館近くのソメイヨシノも
3月末には、まだ、つぼみでした。
そのつぼみは、必ず桜の花は咲くという、希望をあたえてくれました。
3月29日 染井通り |
3月末に駒込を歩いてみました。
この地がソメイヨシノ発祥の地とは知りませんでした。
しかし、この時に、つぼみをもったソメイヨシノの老木が、
まあさんを迎えていました。
4月8日 染井稲荷神社の前 |
今年ほど、ソメイヨシノの花を見てうれしいと思ったことはありませんでした。
その華やかさに感激して、そして無心に満開のソメイヨシノを見上げていました。
世の中に何があっても、人に何があっても、そして何もなくても、桜の花は咲く。
4月13日 染井稲荷神社の前 |
ピンクの花びらと緑の葉の混在するソメイヨシノもまた
趣(おもむき)があります。
桜の花びらが降りそそぎ、桜の花道を作るという、
心憎い演出をソメイヨシノはしてくれます。
4月27日 染井稲荷神社の前 |
気がつくとソメイヨシノは鮮やかな緑の葉の樹となります。
あの華やかさが幻だったかのようです。
緑の葉は、現実の世界に目を向けさせ、共に成長していくことを
応援してくれるかのようです。
4月11日 |
樹に咲く花は、多くは、その花弁(はなびら)を空に向けています。
しかし、思い出してみると、
ソメイヨシノの花弁(はなびら)は地面に向いています。
ソメイヨシノの花びらは下を向いているのではありません。
ソメイヨシノの花びらは私たちをしっかりと見て、ほほ笑んでいるのです。
今年の桜は、私にとっても喜びの桜でした。
返信削除でも、桜といえば染井吉野という風潮に、反感をもっていました。
染井吉野は嫌いじゃないけれど、もっといろんな桜も楽しもうよ、もっとほかの桜を観てもいいんじゃない?
なぜ染井吉野だけがこうも持てはやされるの、とひねくれ者の私は思っていました。
けれど、今回のシリーズ「ソメイヨシノ考」を読んで、染井吉野が好きになりした。そして、東京人として、江戸・染井で生まれた染井吉野を誇りに思います。